嚥下障害を克服するために毎日やっていたこと

嚥下障害について

急性期の脳卒中患者の半数にみられる合併症で、嚥下障害というものがあります。嚥下障害を簡単に説明すると、食べ物を上手に飲み込めず、間違って肺に入ってしまう状態のことを言います。誤嚥が原因で起こる肺炎を「誤嚥性肺炎」といい、高齢者や体力の低下している人では命にかかわる事態になりかねません。僕も例にもれず嚥下障害を発症しました。

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この嚥下障害は、急性期(7日後)には約50%にみられる合併症であると言われています。なお2週間後には約10~20%程度にまで減少すると言われていますが、僕の場合はなかなか症状が治まりませんでした。結局は2ケ月ほど嚥下障害で苦しんでいました。

 

嚥下機能の検査

脳卒中で入院後、患者さんの意識がはっきりしていて、病状の進行がなければ、医師と看護師とで嚥下機能の検査をします。

 

水飲みテスト

患者さんの首の前側(前頸部)に聴診器をあてた状態(頸部聴診)で、スプーン1口(3cc)の水を3口飲んでもらいます。飲み込む音(嚥下音)が素早くはっきりと聞こえ、3口のうち2口以上むせずに飲めれば、食事を始めることができます。

2口以上むせたり、遅かったり弱かったりする異常な嚥下音、のどの奥に何かたまっているような雑音(咽頭部貯留音)が聞こえるときは、嚥下障害が疑われますので、次のフードテストをします。

 

フードテスト

水飲みテストと同様、頸部聴診を行いながら、スプーン1口のゼリーを3口食べてもらいます。咽頭部貯留音や呼吸の異常が特になく、2口以上むせずに食べられれば、摂食・嚥下障害のために特別に調理された食事(嚥下食)を始めます。

2口以上むせたり、咽頭部貯留音や呼吸の異常が明らかであれば、食事は無理です。改善するまで、点滴や鼻からのチューブで栄養をとることになります。

 

その他の検査

食事ができるようになっても、しばしばむせるようなら、嚥下造影検査(実際に食べたり、飲んだりしてもらい、嚥下の状態をX線で透視)や嚥下内視鏡検査(喉頭ファイバースコープを使って咽頭や声帯などの状態を見る)による詳しい検査が必要な場合もあります。

 

嚥下障害が一番つらかった

嚥下障害がでている間は、まったく飲食ができない状態となるため、鼻からチューブを入れて流動食を流し込んでいました。たしかに栄養は足りているので餓死することはありませんが、生きているというより、無理やり生かされているという感じでした。

ですから、「入院中いちばん辛かったことは何ですか?」と聞かれると、間違いなく「嚥下障害」と答えます。それほど辛かった記憶があります。そんな嚥下障害ですが、試行錯誤しながらなんとか約2ヶ月後には徐々に治まっていき、ゼリーやとろみをつけたお茶などを次第に口にすることができるようになりました。(久しぶりの食感の感動は今でも忘れることはありません)

 

嚥下障害を克服

それでは本題に入りますが、僕が一番効果的だと思っていることは、「絶対に食べれるようになる!」「絶対に食べれるようになる!」「絶対に食べれるようになる!」と頭の中でぶつぶつと思い込むことです!!

「えっ!そんなことで!」と思ったかも知れませんね。

でも、本当にそれしかやっていません。

嘘みたいな話かもしれませんが、僕は嚥下障害に限らず、数々の後遺症を乗り越えてきましたが、その根底にはこの「病は気から」の力を信じていたからだと思っています。

辛いかもしれませんが、大好物の食べ物の写真を目の前に置いたり、触ったり、匂いを嗅いで奮起させるのもいいでしょう。

僕の大好物:フライドチキン

僕の大好物:フライドチキン

また紙に「絶対に食べられるようになる!」「絶対に水を飲めるようになる!」と書いて、毎日その文字を見ることも効果的だと思います。

 

まとめ

今回紹介した内容は、嚥下障害の一般的な内容と僕の体験談です。患者さんの状態には個人差が大きく、すべての患者さんに同じリハビリテーションが当てはまるわけではありません。

患者さんお一人ごとの状態、必要なリハビリテーションについては、担当の医師、言語聴覚士によく相談してください。

私たちは普段はあまり意識せずに、話したり、食べたりしています。しかし、話すこと・食べることは、私たちが生きていくうえで非常に重要な活動であり、また日々の生活の「楽しみ」でもあります。

患者さんが話すことと、食べることの楽しみを早く取り戻せるように、言語聴覚療法と摂食・嚥下機能療法への理解が広く深まることを願っています。

余談:歯科医師が開発した「エントレ」たるものもあります。
https://www.keirow.com/entre/